« 沖縄のガイドブック | トップページ | Lightweight Language Ring »

2006.09.22

「危機の宰相」 沢木耕太郎著

危機の宰相危機の宰相」沢木耕太郎著
沢木流に言うところの当サイトの『惹句』にもあるように、僕はかなりの沢木ファンである。その中でも、スポーツ・ノンフィクションや紀行文よりも、それ以外の時代を見据えた作品が好きである。「敗れざる者たち」や「」で描かれる人物は、それぞれ沢木を通して、僕らの目前に表出する。
「危機の宰相」では、
政治家としての池田勇人を支えてきた宏池会事務局長 田村敏雄、経済学者 下村治の三人が「所得倍増」というフレーズを世に送り出し、問い、実現していった姿を描いている。僕には、流行語大賞で耳にする言葉と同様の重みしかなかった「所得倍増」という言葉が、如何にして生まれ、それが、言葉として持つ意味以上に、池田勇人の信念に昇華していくか。大蔵官僚として「ルーザー」であった彼らが、日本をいかに牽引していったか、そんな姿が描かれている。
沢木流の語り口で始められる物語は、着実に足場を固められ、後半は、大団円に向かって、激走を始めるのであった。
小泉首相が退任し、安部首相が誕生した今。沢木耕太郎に、小泉改革について書いてもらいたいと思うのは僕だけだろうか。そう、題名は「改革を壊した男」というのはどうだろう。

|

« 沖縄のガイドブック | トップページ | Lightweight Language Ring »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「危機の宰相」 沢木耕太郎著:

« 沖縄のガイドブック | トップページ | Lightweight Language Ring »