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2006.09.03

ブレイブ・ストーリー

ブレイブ・ストーリー (上)ブレイブ・ストーリー」宮部みゆき著
ご存じ、この夏のアニメの原作である。宮部みゆきの作品は、今まで読んだことがなかった。中居正広演じる「模倣犯」も、大林宣彦監督の「理由」も映像はみたが、 その原作には手を出さなかった。特に大きな理由はないが、強いていえば、「理由」で直木賞作家となった宮部みゆきには、興味がわかなかったといったところか。
さて、作品の話だが、...
ジュブナイルとしてのできは、それなりに面白いと感じた。ファンタジーの世界に入るまでが長いのと、そのファンタジーの世界が薄っぺらいのが残念だが、離婚寸前のワタル(主人公)の両親とミツルの悲劇。どちらも現代社会に普通に存在する普通のできごと。でも、それが普通であることは、それ自体が異常な現代社会。そんな世界と、「ヴィジョン」という名の異世界がつながっているというそれだけでは、オタクに逃げ込む自分を揶揄した庵野秀明の「エヴァンゲリオン」になってしまうが、そこはジュブナイル。それなりの終わり方をしている。
特に面白いと感じたのは、論理思考のワタルの父親。昔の女性とつきあい、子供を作って家を飛び出してしまう。典型的な日本人の親父。僕も、その一人なのかもしれない。自分で決めて、自分だけで納得する。説明責任を果たそうとしない。それが、周りには理解できない。

さて、暇を見つけて、アニメを見たのであるが、これが失敗であった。確かに原作に近いのだが、あまりに子供向けに味付けされてしまっていて、本質がわからない。伝わらない。原作を読んでいなければ、内容も理解しにくい映画であった。残念。

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