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2012.04.13

どちらかが彼女を殺した

どちらかが彼女を殺した (講談社文庫)どちらかが彼女を殺した」東野 圭吾 (著)
加賀恭一郎シリーズの第三弾。
この作品は、加賀恭一郎シリーズの中でもエポックメイキングな作品。
第一弾「卒業」が、小峰元へのオマージュとするならば、第二弾「眠りの森」は、東野圭吾としての作品。そしてこの三作目「どちらかが彼女を殺した」は、本格推理小説への挑戦を実践した実験的作品となっている。
この作品では、タイトルにもあるとおり、犯人は男女二人の「どちらか」であり、その「どちらか」を突き止めるために小説が進んでいく。
この作品、特徴的なのが、最後まで犯人が書かれていないことにある。文庫版になって、西上心太氏の袋とじ解説がついてはいるが、その袋とじにも完全な犯人名は明かされていない。つまり、犯人が明記されていない推理小説なのである。
このあたりは、「名探偵の掟」の解説で村上貴史氏が書いているが、「作者が示してくれる解決をただぼんやりと口を開けて受け身で待つ読者への、痛烈な皮肉」として書かれた「意外な犯人」(「名探偵の掟」第二章)の解決として、この作品が提示されている。
登場人物も絞られ、動機もシンプル、殺人現場も狭いといった、犯人当て以外の要素を極力排除した作りになっている。
さて、犯人は「どちらか」?

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