« ブルームーン | トップページ | 白州 246COMMON カフェ »

2012.09.02

遺体 - 震災、津波の果てに

遺体―震災、津波の果てに遺体 - 震災、津波の果てに」石井 光太 (著)
西田敏行さん主演の映画「遺体 - 明日への10日間」の原作。
3.11の後、僕らの目にする様々な映像の中で、意図的に隠されたものが、被災者のご遺体であった。
そのご遺体に、積極的にかかわることになった人々の話をつづったのが、この原作である。

震災ボランティアで陸前高田に伺ったとき、大船渡が実家のバスの運転手さんが語ってくれた。
震災直後、大船渡の周りは、自衛隊が封鎖していたのだが、実家があって心配だからと、市街地に入れてもらったそうである。
そこで、彼が見たものは、渋滞で津波を逃げ切れなかった幹線道路の車列。
その車の中には、苦しんで亡くなったご遺体が、無数にあったそうである。

陸前高田の僕の友人も震災で亡くなった。彼のおじさんにお話をうかがう機会があったのだが、そのとき、「それ(陸前高田の市街)は(ご遺体が無数にあって)戦場のようだった」と語っていた。

昨年、おふくろの七回忌だった。残念ながら、死に目には会えなかったが、自然死であったので、遺体が見つからないということもなく、葬儀も執り行えたのだが、それでさえ、いろいろあった。
おふくろは、糖尿病で薬漬けであったせいか、死に顔が土気色になって、すぐにむくんできた。
葬儀屋さんが言っていたが、「薬を服用されていると顔色が悪くなるんですよね」。
健康体でいないと死んでからもそんなことを言われるのか思ったものだ。
僕も、妹も、手を出せないでいると、おばさんが(おふくろの妹)死に化粧をしてくれた。
それで、少しは見られる顔になった。

震災を語るとき、死者の言葉をだれが語れるのか?
そんなことを思う作品。

|

« ブルームーン | トップページ | 白州 246COMMON カフェ »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 遺体 - 震災、津波の果てに:

« ブルームーン | トップページ | 白州 246COMMON カフェ »