キャパの十字架

本作は、NHKスペシャルで放送された「沢木耕太郎 推理ドキュメント 運命の一枚 ~"戦場"写真 最大の謎に挑む~」の元となっている。
僕にとっての沢木耕太郎は、ルポルタージュ作家である。彼が、エッセイを書いても、小説を書いても。
彼のルポルタージュは、一人称で語られる。スポーツ選手も、政治家も。
周辺人物の一人称で語られる彼の作品は、読者が沢木耕太郎になった気にさせる。
言い方をかえると、映画を見終わって劇場を出た観客が、その映画の主人公になったような感じ。
そこが、いい...
さて、この作品は、
う~ん、どうもいただけない。なんか、文学青年が、数学の公式を解いているようで、まどろっこしくて、理解しにくい。確かに、キャパの「崩れ落ちる兵士」に迫る一大発見であるから慎重にならざる終えないのはわかるが、それにしても、いただけない。学術論文なら、それなりの書き方がある。余計な説明が、この作品をおもしろくなくさせているのは間違いない。沢木は、これをルポとして書いたのか?それとも、「崩れ落ちる兵士」の真相に迫る研究論文として書いたのか?
いずれにしても、いまいちな作品となってしまった。
これに比べれば、NHKスペシャルの方が、沢木作品らしさが出ていたのは、皮肉な感じがした。
いずれにしても、いまいちな作品となってしまった。
これに比べれば、NHKスペシャルの方が、沢木作品らしさが出ていたのは、皮肉な感じがした。
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